夜中の門番

金曜の夜

ほろ酔いで家に帰ってくると、玄関の下に引いてあるマットの上に猫が待ち伏せていました。

例の猫です。

時刻は午前零時を過ぎたころ。猫も夜更かしが過ぎます。

玄関のマットには確かに Welcome と書いてありますが、こんな時間に猫の訪問なんてまっぴらです。

尻尾を踏まないよう気を付けてドアを開けると、すかさず自分と一緒に入ってこようとします。猫の目に見えているのはドアの隙間だけのよう。

これじゃあトイレに行くどころか、朝まで家に入れない。

最後の策として二階で寝ているワイフに、「猫が玄関の外に座っていて、家に入ることができない。どうにかしてよ」と電話を掛けます。

寝ぼけている彼女はどうやら僕の言っていることがよく呑み込めないよう。説明を繰り返します。やっと事情がつかめたのか、少し経つとドアが内側から猫が入ってこないくらいの隙間で開きました。

ドア越しで策を練り、彼女が家の中から猫の気を紛らわせ、そのすきに僕が入ることにしました。ねこじゃらしはあいにくありませんので、猫の気を引くためにハンガーを彼女は持ってきました。

数日前から、「吾輩は猫である」を読んでいるためか、なんとなくこの猫にすべてを見透かされているような気分に陥ります。

結局、計画は見事に失敗。ハンガーも無駄に終わり、すっかり家に入られてしまいました。計画は、中に入ってしまった猫をどうやって外に出すか?に変更です。

でもそんな計画もすぐに不要になりました。というのも、リビングルームに足を入れたとたんに猫は方向を変え、外に出て行ったからです。

!?!?

そう思ってよくよく見てみると、リビングルームのドアの下にはドアストッパーがあるではないですか。しかも犬の形をした。

これは彼女が会社の同僚から誕生日プレゼントとしてもらったものです。

きっとあの猫はこの貫禄のある犬に驚いて逃げて行ったに違いありません。

Dog Door Stopper

めでたしめでたし。

 
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